ある日。

日曜日。晴天、片付け日和。

これまで、日曜日はただただダラダラ過ごしていた。しかし、ここへきて平日だけではどうにも家事を回しきれなくなってきたので、日曜日を片付けの日とすることにした。9時に起きて、家中のマットを洗い、スリッパを洗った。朝食を食べて、掃除機をかけ、床のふき掃除をした。気持ちいいい。すごく気持ちいい。あちこちたまった書類や、なんとなくかけておいた上着とかを片付けた。要らないものをメルカリに出したり、譲りたい人のためにボックスに入れた。スッキリした。


夫とドラッグストアに行き日用品を買い、本屋で本を3冊買った。スーパーでちょっとしたお菓子を買い、お茶して帰ってくる。


夜、『推し、燃ゆ』を読む。面白かった。みんなが難なくできることができず、推しを推すことだけに自分の生きがいを見出す主人公のあかりの心情が手に取るように伝わってきた。私には推しとやらがない。小学生の頃、周りの子がみんなジャニーズに夢中になっているのを横目に私は必死で好きになれそうなアイドルを探したが見当たらなかった。中学生の頃、空前のビジュアル系バンド人気がやってきて、みんな狂ったように頭を振っていた。私も友達に誘われてライブにも行ったが頭を振るのは楽しかったが、夢中にはなれなかった。幼馴染が、「みほこは周りがどんなに何かに夢中になろうとも全然盛り上がってなかったよね」という。その通りだ。私にはこれまで自分以外のことに熱中したことがない。だから、自分の人生のすべてを推しに捧げる主人公がうらやましく思う。きっと、私にもこれほどまでに夢中になれる推しがいたら、もっとこの本の素晴らしさがわかったのかもしれないと思うと悔しい。「あたしは徐々に、自分の肉体をわざと追い詰め削ぎ取ることに躍起になっている自分、きつさを追い求めている自分を感じ始めた。体力やお金や時間、自分の持つものを切り捨てて何かに打ち込む。そのことが、自分自身を浄化するような気がすることがある」「つらさと引き換えに何かに注ぎ込み続けるうちに、そこに自分の存在価値があるという気がしてくる」「自分で自分を支配するのには気力がいる」素晴らしい本だった。ちょっと寝かせてもう一度読みたい。


女性のための選書サービス/5冊だけの本屋

あなたのためのとっておきの5冊を選書します。