2023年10月19日(木)晴れ

今日も26℃まで気温が上がるという。秋はいつになったらやってくるのだろうか。


朝 納豆ごはん、ベーコンエッグ、豆腐の味噌汁、黒豆茶

夫が数日前に買ってきた平飼いの卵がなんともおいしそうで、卵かけごはんにして食べたいような一濃いオレンジ色の黄身だった。それを、私は半熟の目玉焼きにして食べた。夫は変わらず両面焼き。私の目玉焼きを見た夫が、「本当に美味しそうな色している」と。


数日前、一人でホテルステイしてきた。だいたいこういうときに着て行く服にまごついてドタバタと走って家を出るのが私のお決まりのパターン。最近は夜のうちに着て行く服を決めている。この時も前日に用意していたのに、急に夏日になりニットが暑く感じられた。いろいろ着替えたがぴんと来ないので、仕方なく薄手のニットででかけた。50メートルくらい歩き、私の服装が気候に合っていない上、どこかちぐはぐしているような気がしてきた。電車に乗っている時も、一人で楽しみにしていた高級回転寿司も、ラウンジでのケーキセットも、どうも身が入らない。そのうち、服を見始める。もう、今すぐに買って着替えたいくらいだ。それであちこちお店を回り、試着を繰り返すも、いい服とは出会えなかった。まぁ、部屋に帰って寝るだけだしと言い聞かせ、チェックインをした。お洒落は大事である。気分を高めてくれるし、自信が満ち溢れてくる。思い出してきた。この10年間、本当にお洒落まで手が回らなかった。お洒落したい。お洒落に、好きな服に、情熱を注ぎたい、そういう気持ちが蘇ってきた。そこで夫にLINEする。私たちは今年からお互いの情熱を注ぎたいものを共有し、お互いにそれを叶えるべくサポートしている。私が家を出るときに夫は会議中だったので、いってきますも言っていないのに、突然のLINEで「お洒落に情熱を注ぐ」と送られてきて、さぞかし夫は困惑したであろう。そうとなったら、インルームダイニングで4000円以上のモーニングを食べようと思っていたが(お鮨とケーキの分を取り戻そうとしていた)、そんなお金とカロリーはお洒落にはただの邪魔である。ネットで最近ご無沙汰だったブランドのオンラインを隅々までチェックして朝を迎えた。私はホテルで何をしているのだろうか。もっと、やるべきことはあったのではないだろうかと思いながらも、これが私の今したいことなのだから仕方ない。翌朝、いそいそとチェックアウトをしてとにかく歩く、電車で移動する。たぶん数年ぶりに入るであろう路面店のそのショップは、中がちょっと変わっていてレディースがどこにあるのかわからなかった。店員さんに教えてもらい、レディースフロアに上がる。すでにオンラインでチェック済みの服が一気に視界に入ってくる。それを、欲しい順に効率よく回っていき、店員さんに試着を伺う。たまたま対応してくれた店員の方が、信頼の置ける方で、個人的にスタイリストに抜擢したいほどのスタイリングをしてくれた。そうして、シャツを2枚買った。着心地がよくて、自分で言うのもおかしいがよく似合っていた。10年ぶりくらいにそのブランドのシャツを買ったが、私は学生の頃からこのブランドが出しているブルーのシャツが好きなのだ。振り返ると、いつも記憶に残るような大切な日の私はここのブルーのシャツを着ている。いい買い物ができた。喫茶店でランチをして、その時の高鳴る気持ちを手帳に書いた。いつもはスマホに適当にメモするが、こういうことは丁寧に手で書き残したいと思った。そして、私はこの街がすきだということに気づいた。そうしたら居ても立っても居られない、急いで帰宅してそのことを夫に伝える。好きなお洋服のブランドがあって、クラシカルな喫茶店があって、好きな文房具屋さんと花屋さんもあって、公園や庭があって、自然と緑と、あと何といっても犬に優しい。ほとんどのお店は犬と一緒に入れる。そういう全てが好きだから、将来はそこに住みたいと話した。そういえば、一度物件を見に行ったことがあった。夫もそうであるように、私には私の好きで将来住みたいお気に入りの街ができた。うれしい。ホテルステイをすると、ホテルを楽しまなきゃと力んでしまうが、場所や状況にとらわれず自由気ままに考えて動けるこのひとりの時間こそが私の欲しかったものなのだから、結果的にはいい時間を過ごせたということになるのだろうか。


夜ごはんの仕込みに取り掛かる。秋の豚汁の材料を丸一日考えている。決まっているのは豚肉と里芋ときのことこんにゃく、あと葱の青い部分を長めの斜め薄切りにして豪快に入れる。ただ、人参を入れたいような気もする。夫は人参が嫌いだし、あんまり材料が多すぎてもなと悩む。前回作った鉄分摂取豚汁の具材を思い出す。大根、小松菜、木綿豆腐、しめじ、豚肉と青ネギで、これも夫はおいしいおいしいと言っていた。さてどうしようか。


悩みながらも、朝吹真理子の『抽斗のなかの海』をキッチンのスツールに座って読む。日記のところが好きで、何度も読んでいる。あと、東日本大震災の日に、将棋の観覧をしていたこと。将棋の状況と、揺れがひどくなって羽生さんの素早い動きのところ。私はこの時間は新宿の美容室で髪を切っていたんだなと思い出す。この時間には、夫と奇跡的に合流できて、渋谷から自宅まで歩いたなとか、マンションに着いたらエレベーターが動いていなくて疲れた上の7階までの階段がつらかったなとかそういうことを思い出しながら読む。

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