ある日。

思いたって寝室の大掃除と模様替えをする。寝室には私専用のクローゼットがあるが、その中も全部出して整理していく。床の隅々や壁なども丁寧に磨く。最近、この動線いまいちだなぁと思っていてストレスだったのでいろいろ変えてみたらスッキリした。夫も、「この配置が今までで一番ベストだね」と言う。私は子どものころから模様替えが大好きで、と言うかあの部屋を丸っとリセットする感じがたまらなくて好きなのだ。しかし、夫と同棲を初めてから夫が不在時に私が思いたって模様替えをしていたら、疲れて帰ってきた夫がブチ切れたためそれ以来、夫がいない時に模様替えをするのはやめている。でも、今回は夫も上機嫌なので安心した。

夕方、夫は実家に帰る。わりかし近い夫の実家だが私は一緒に行くときもあれば行かない時もある。以前は必ず一緒に行っていたけれど、いつの間にか逆転して私の方が夫の実家に入り浸るようになった。でも今はこういう時期なので、私は行かないようにしている。コロナ感染、実の息子から感染したとしてもきっと夫の両親は何も思わないと思うけれど、嫁からとなるとなんか違うような気がするのではないだろうかと思うのだ。夫の両親もまぁまぁいい年なので万が一感染して生死をさまようことになったとして、それが私によるものだとしたらきっと死んでも死にきれないだろう。って思っているけれど、たぶん夫の両親はそんな人ではない。とてもおおらかで実の息子たちよりも嫁たちを可愛がってくれている。でも、なんだかんだ言って自慢の長男がこんな時期でもちょくちょく顔を出してくれるっていうのは嬉しいものなのだろうと思っているので、夫が一人で帰ることは親孝行でもあるのだ。夫に両親のあれこれを聞くのも私の楽しみの一つだ。

夫が出かけた後、読書する。石田ゆり子の『天然日和』と『旅と小鳥と金木犀』の二冊。私の好きな日記エッセイ。これが発売されてすぐに読んで、この本の中に出てくる数ある名言の中でも最も気に入った一文を手帳に書いて、暇さえあれば眺めていた。あれから十数年が経ち、その言葉はすっかり私自身に刻み込まれているけれど、こうして改めて読むと、また違ったところが響いてきて、だから私はまた今の自分に必要な一文を手帳に書き写して暇さえあれば眺めるのだ。ちなみにこの本の中で私が最も忘れられない一文は、「優しさや思いやりは、つまり、その人への想像力だ」というところ。だからきっと本好きには優しい人が多いんだろう。だって、想像力が鍛えられるでしょ、読書は。私のなかではこれはスランプの時に読むと励まされて前に進める本。石田ゆり子さんは水泳の選手で本物のアスリートだが、私はスパルタな部活経験のおかげかメンタルが基本的にアスリートらしいのでそういうところが共感できる一つなのかも。そう言えば、この本は武田百合子の『日日雑記』にインスピレーションを受けてと書いてある。そう言えば、川上未映子もトイレで武田百合子の『日日雑記』のある部分を丁寧に読むのが習慣だと書いてあったエッセイがあったと思いそれを読み返す。川上未映子はどの部分を毎日毎日読み返していたのだろうか。そんなことを考えていたら、『日日雑記』を読みたくなり読み返す。あぁ、この独特の切り口、テンポが最高なのだよな。

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