ある日。

朝、ごはん、味噌汁、きんぴらごぼう、ご飯のお供各種。秋になると、やたらきんぴらごぼうが登場する我が家。食物繊維が大切だからね。秋は。


自転車で図書館に行く。自転車は気持ちいい。マンションのレンタサイクルが電動なのでそれでいく。楽ちん。私は完全に浮かれていた。図書館で予約本を受け取ろうと思い、図書館のカードと少しのお金を入れたカードケースを開けたら、さかさまで開けていたようで静かな図書館のカウンターで小銭が盛大に転がっていき、その音が鳴り響いた。頭が真っ白になり動けずにいると図書館のお姉さんたちが大丈夫ですか?とすべて拾ってくれた。呆然。みんなが拾ってくれるのに、微動だにできない私は、まるで子供のようだった。もう大人なのに。

本を受け取って動揺しながら自転車をこいでいたら、とある家からスーツを着た若い男の人(たぶん新卒)が出てきて、ものすごく道に迷っている。あぁ、なんかやな予感するなあ。と思っていたら、案の定、「駅はどこですか?」と聞かれた。自慢ではないが私は分からないのだ。図書館は隣の駅だし、その住宅街は抜け道として私が自転車で通っているだけであって、あまり降りたことがない隣の駅はそこからどうやっていくのかよくわからなかった。なんとなく方向はわかるけれども、説明できないのだ。それで「すみません。私この辺のものじゃないのでわからないです」と言って逃げてきた。よく考えたら思いっきり住宅街を自転車で走っているのに、地元じゃないって。。ちょっとなぁと思ったけれども、よくよく考えたら、じゃぁ、あの人はどこから来たのだろうか??どうやってそこに来たのだろうか。タクシーだろうか。あのひと、ちょっと大丈夫かなと心配になりながら自転車をこいだ。

途中のコンビニで切らしていたヨーグルトと卵を買った。おまけにマウントレーニアといちご大福と豆大福。図書館バッグしかなく、図書館の本が入っているので濡れたりしたら困るため袋をもらった。そしたら、店員のいいおばさんが、「ちょっとヨーグルトと卵だと袋のバランス悪いけどいいかな」と言ってきた。確かに組み合わせ悪いよね。卵をたてに入れるわけにもいかないし。。と苦戦している。そのため、卵だけこちらに入れるのでいいですよと卵を図書館バッグに入れた。おばさんもほっとしたようで。「卵、気を付けてね。下に置くとき割れないように気を付けてね」と、まるで子どもに言うように言ってくれる。ありがとう。そう言って店を出て、自転車のかごに入れて帰ると、歩道と車道のがたがたで卵が割れてないだろうか、その割れた卵が図書館の本が汚れないだろうかと気が気ではなくなり、ものすごくゆっくりと自転車をこいで帰った。


何をやってもいまいちの日だったので、夜は夫と二人でマックに行く。二人ともやけくそだ。


うれしいお仕事の依頼が来た。私はそういうことにチャレンジしたかったので、仕事をセーブしていた。セーブして、そういうことに関われる時間を確保していた。そして、夫に絶対に実現させると言っていた。そうしたら、そういう依頼が来て、あっけなく夢がかなってしまった。夫も驚いている。あぁ、感謝だ。ありがとう。


益田ミリの『前進する日もしない日も』読了。これを買ったのは、私が20代か30代前半の頃だった。あぁ、私もこんな感じかななんて想像していたら、このころの益田ミリさんと同じ年齢になっている自分がいた。そう、これは益田ミリさんが30代後半から40歳を迎える時期に描かれたエッセイ。周りは仕事してバリバリと働いて出世していくのに、私は仕事辞めて日常生活すらまともに遅れなくて、なにやってんだ。。って思っていた時に読んだこの本にどれほど救われた分らない。

自分と向き合って、受け入れて、ささやかだけれども前に進んでいこうとする様子に心が軽くなったものだ。何度も何度も読んだ。本当にいい本だった。このころは益田ミリさんも今のような爆発的な人気もなくて、私もよく知らなかったけれども、10年以上たってもまだ益田ミリさんを追いかけている。圧倒的な共感がそこにはあるので安心して読めるのがいい。エッセイの中で、歯の治療に行ったはずなのに痛くて泣いてしまうところがあって、こういうところが大好きなんだよなと再確認する。私も歯医者では大騒ぎして帰ってきたものだ。謙虚で優しさの中に確固たる野心が感じられて、そのアンバランスがいいんだよね。

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