ある日。

朝ごはん、前の日の牡蠣鍋の残りと雑炊。ぐつぐつと煮えたぎったお鍋に黒米と水菜を入れて、フツフツとしてきたら火を止め、最後に溶き卵を回しかけ、ふたをして蒸らす。牡蠣の出汁がたっぷり吸い取ったご飯はとってもおいしくて、これまで食べた雑炊のなかで一番おいしかった。あまりにもおいしかったので、ちょっとだけ食べるつもりがおかわりまでしてしまった。


結婚記念日のディナーが緊急事態宣言のためキャンセルになったので、近場でうなぎを食べに行く。竹葉亭はうなぎ屋でもこざっぱりとしていて、うなぎもこってりしていないので大好き。肉厚でこってりして甘からいたれを盛大にまとったうなぎよりも、ぱきっと上品で、たれは控えめで、薄く敷き詰められたお重に入ったうなぎ。竹葉亭は、回転も速く、こんな時期にも関わらず人が大勢入っていた。結婚10周年の記念にうなぎを食べたこの日も、のちにいい思い出になるだろう。思えば、私たちが入籍をしてすぐに、東日本大震災が起き、10周年にはコロナ。私たちの記念日は天災やら人災やらのともにあるらしい。あの頃も結婚式場の下見がキャンセルになったり、いろいろ大変であった。こんなことがなければきっとすっかり忘れていたことだろう。


帰りに、大好きなピエールエルメでケーキを買おうと思ったら、週末にのみお受け渡しをしておりますと言われ、がっかり。


夫が結婚記念日にとお花をくれた。夫はまめなので、かならず結婚式に使用した花をプレゼントしてくれる。今回はスイートピーのキュートな花束だ。いつもはこっそり用意してくれるが、この日は私も一緒にいたため、夫がブーケを頼んでいる様が面白かった。店員にあれこれ注文を付けているが、一向に思った通りにはならないようで、花屋中の花をあれこれ組み合わせてやっている。夫がひたすら「シュッとしたブーケにしたい」と伝えていたのに、店員さんにはなかなか伝わらなかったようで面白かった。いよいよ店員さんも困り始めたので、私が、「この組み合わせが好きだな」と伝える。夫は納得していないようだが、君が好きならそうしようと言っていた。面白かった。ブーケはとっても可愛らしくて、見るたびにフフっと微笑んでしまうようなカラフルなものだった。ありがとう。


帰宅して愛犬の3歳のバースデーのお祝い。私がさつまいもを蒸かし、それを夫が裏ごしする。その隣で、私は苺をカットしたり、ビスケットを用意して、いよいよサツマイモを型に入れ固め、そこに水切りヨーグルトを夫がコーティングする。そして、私がクッキーやら苺やらでデコレーションした。夫婦共作の自信作である。愛犬はまさか自分も食べれるなんて思っていないようで、キッチンの隣でキュンキュン鳴きながら、ずっとジャンプしていた。いよいよ、愛犬もおしゃれをして、ハッピーバースデーを歌いながら運ばれてきたケーキに、ジャンプが止まらない。でも、ここから夫婦の写真撮影が始まるのだ。愛犬は大好きなケーキを目の前にずっとおあずけされている。しばらく写真を撮られ放題撮られてから、いよいよ実食!おいしいようで、すごい食いつきだ。それにしても愛犬のお行儀のよさよ。食いついているが、上品に少しずつ食べている。口の周りにヨーグルトがついたりもせず、お皿からこぼしたりもせず。あぁ、可愛い。さすが、我が愛犬。お誕生日おめでとう。

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