ある日。

冬だというのに春のような陽気で、ダイニングテーブルに日が差し込んでいる。それを見ていたら、前の日にフレンチトーストを仕込んでおいたのは正解だったなと思わずキッチンで微笑む。愛用の鉄のフライパンでフレンチトーストを作る。そして、丁寧に丁寧にミルクティーを淹れた。最高の朝食。


休日のため、夫と二人でカフェに行き読書する。『お探し物は図書室まで』を読む。いつも、夫はDAZNでサッカーを見るのに、今日は本を読んでいて嬉しい。付き合っていたころ、夫はよく本を読んでいた。「これおもしろかったよ」と、私が選びそうにない本を進めてくれて嬉しかった。最近は、そんなことがなくなり、とても悲しい。カフェで読書にするのは、付き合い始めたころから変わらずに続くのだろうと思っていた。けれども、文明の利器によってあっけなく葬られた。悲しい。私は本を読む夫が好きだったのに。本を読んで私の世界を広げてくれる人が好きだったのにと、年甲斐もなく思ってしまう。そのせいか、最近は夫とカフェで過ごす時間はあまり好きではない。


夜ご飯に、お気に入りのラーメン屋で食べようと、朝からウキウキしていたのに15時で閉店していた。悔しい。私は、それが食べたいと思ったら、どうしても食べたい。他のラーメンでは絶対に嫌なのだ。腹が立ってきたので、「お腹空いたー」と叫びながら歩いていた。隣の夫は、「子どもじゃないんだから、やめなさい」と言った。イライラした。仕方なく、街の中華に入って、あんかけ焼きそばを食べていたら、無口な夫が、しきりに何か面白話をしようとしているのだが、隣の女性の声が大きくて聞こえなかったので、何度も聞き返していたら、夫が諦めた。そんな面白そうな話を夫が持っているのは珍しい。静かになったころで、なんの話を伝えたかったのかを聞いたら、本当につまんない話だった。

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