ある日。
ここ数日、具合が悪い。また、持病が再発したのではないかと不安になる。一日何回も、夫に、「私、また再発したんじゃないのか?」と聞く。夫はうんざりとした様子で、「それは絶対にないから大丈夫だ」と言う。夫は、私が具合が悪くなることと、不機嫌になることを極端に嫌う。夫に具合が悪いということを言うのも、もう嫌になった。不機嫌をなんとか自分で消化するためにいろいろ頑張るのもとても疲れた。こうして、私は自分が嫌っていた「周りを疲弊させる女」になり下がったことに嫌気を指し、一日に何度でも死にたいと思う。いつも死は身近にある。
夕方、どこかに出かけていた夫がでっかいミモザの花を抱えて帰ってきた。それは、まるでどこかのミモザの木から、切ってきたような素晴らしいもの。これまで会社帰りに都内のおしゃれな花屋で何千円もしてちょっとその値段に見合っていないような花を買わされてきた夫。近所のいい花屋で購入してきたミモザ。「これまであの花屋で買っていたのがばかばかしくなるくらい、安くていい花だった。ワイルドな店員さんがミモザのうんちくを語らいながら接客してくれるんだよな」と言った。そうだ、そこは、花屋には似つかわしくないワイルドな男性がやっているのだ。まるでサーファーのような。その方が、妙に花のあれこれを教えてくれながら接客してくるのが、私はどうもなじめなくて、いい花屋であることを知りつつもいけないのだ。でも、これからは通いたくなった。
花の美しさや値段の分かる男っていうのはいいもんだ。夫も。
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