ある日。

朝から、腹痛のためベッドで眠る。2時間くらい寝たら、よくなった。思い立って、お昼ごはんに白米を炊く。朝ごはんにご飯を炊く以外は、めったにご飯は炊かないので珍しい。昼ごはん、納豆ごはん、漬物、豚汁。

夫と二人、春から始まる新ドラマに何をみるのかと相談する。私はだいたいまとめサイト的なところで軽く見て決める。けれど夫は、各テレビ局のHPにわざわざ訪れて、ドラマをチェックしている。だいたい二人とも1シーズンに多くても二つくらいしか見ないのに、なんと見たいドラマだけでも12個くらいあった。びっくり。夫が「きみの好きな坂元裕二のドラマあるよ」と数日前に教えてくれて、二人で楽しみだねと話していたのに、夫が見たいドラマリストに入れていなかったので、「このドラマは見ないの?」と聞いてみた。なんと夫は一番見たいドラマだったというのに、某テレビ局のHPのミスで、新ドラマカテゴリーではなく、すでに始まっているレギュラードラマにカテゴリー分けされていたという。またしても夫はHPの間違いを見つけた。夫はよくHPの間違えを見つける。これは職業病なのだろうか。この前、旅行に行くときにもわざわざホテルのHPの見難いプラン一覧から予約していたら、間違いを発見していて、ホテルに連絡すると訂正をお詫びをいただいたのだ。そんな誰も気づかないようなことに気づくのが夫である。また、誰もが気づくのに気づかないのも夫。こういう面白さがよいのだ。


昼食後、「春みたいな気持ちのいい日だからソフトクリームでも食べたいね」と夫に言うと、意味が分からないようであった。愛犬の散歩をして、各々仕事に取り掛かる。

夜ごはん、豚の生姜焼き、漬物、豚汁。生姜焼きには、はちみつを入れたので甘じょっぱくておいしかった。夫も、「甘じょっぱくて、でも生姜が多いからおいしい」と。


夜、中谷美紀の『オーストリア滞在記』を読む。オーストリアがどこにあるのかも知らなかったが、そんな私でも、オーストリアで暮らしているような楽しい日記エッセイ。中谷美紀は私が長年大好きな女優だ。高校生のとき、前髪を伸ばそうと決意したきっかけはこのお方だった。それ以来、似ても似つかないのは自分でもわかっているのだが、この方のワンレンボブの美しさに惹かれかれこれ20年近くワンレンボブを貫いている私。そして、熱心にブログも読んでいるのに、エッセイも買ってしまった。ドイツ人ヴィオラ奏者の夫と、時々訪れる継娘との生活がものすごくよかった。女優であることのプレッシャーや苦悩、多くの犠牲を払ってきたことを、夫と継娘との出会いにより、自分の人生を大切に、楽しみながら働くようになったというところも心が和らぐ。それに、なんと言ってもすごいのは、40代にして慣れない外国暮らしと新たな言語習得に必死なところ。40代から新たなチャレンジに一生懸命な方に触れると、私も頑張ろうと思う。なぜか、40歳を目前に新しいことに尻込みしてしまっている。何もかもが急速に衰えると信じている40代、そこへきて新たなチャレンジなんて私にできるだろうかと思ってしまう。30代を定年したおじさんのように人生の夏休み的に過ごした私には、もはや何もない。10年も社会から離れ、ほぼほぼ寝込んで出かけられない日々を過ごしていたことによって、ほとんどの交友関係も失い、体力も気力も本当にない。ないないだらけ。まるで浦島太郎。40歳目前で完全に復活して、さぁこれからどうしろというのだろうか。10年のブランクは痛い。でもここで踏ん張らなければ、ないないだらけの人生になってしまうので、自分を追い込んで何かにチャレンジしていかないと思っている。だから、こうして必死に頑張る人たちの本を読み漁っているのかもしれない。


寝際に毎日読んでいた森見登美彦『太陽と乙女』読了。「眠る前に読むべき本」を作ってみたいと思っていたという通り、寝際の読書にぴったりだった。一度図書館で借りて、すごく好きだったので文庫化されるのが待ち遠しかった。だからちびちびと大切に読んでいた。読書にまつわるあれこれ、散歩や旅、日常、日記などについてが純粋に面白い。読書欲がムクムクと湧いてくるし、日記好き、モレスキン好きにはたまらん。「納得のいくように書棚に本を並べるというのは難しい」とある。これなんぞ本好きには永遠のテーマ。私も夜中に本棚の整理などし始めるときがあって、奇跡的にある一部分が美しい並びになるとそれだけでとんでもなくうれしく、よく眠れたりする。そんな好きなことだらけが詰まった本だった。

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