ある日

春のような陽気の日に『キッチン』を読むのは最高だ。主人公のみかげと雄一が二人でラーメンを作って食べるとこともいいし、ラストの二人でかつ丼を食べるところも好き。だから必ず読み終えた後はインスタントラーメンを食べたくなるし、かつ丼を食べたくなる。何度読んでも泣けるところは同じだし、「私、私の人生を愛してる」っていうところは言葉にできないほど美しい。こんなこと言える人ってきっとそんなにいないだろうなと思うのだけれども、私自身はそこそこ私自身と私の人生を愛しているので共感してしまう。多くの女性がこう思える人生を送るだけでどれだけ世界が平和になるのだろう。もっともっと多くの人に読んでほしいし、若い人にも読んでほしい。

愛犬の散歩を一時間。天気がいいのであちこち歩いていたら、愛犬はすごく笑いながら気持ちよさそうにトコトコと歩いていた。時々、私の方を振り返っては幸せな顔を見せてくる。はぁ、愛おしい。ふと公園を横切ると、カラフルなお花畑の真ん中でいかにも建設関係の作業着を着たマッチョな男性が2人、ベンチに腰掛けてお弁当を広げていた。私と愛犬はその様子を眺める。はぁ、楽しそうだな。私も混ざりたいな。その異空間の男性たちに見惚れる女と犬。きっと誰かが見ていたら完全に怪しかっただろう。そんなことしながらマンションに戻る。マンションのエントランスにクリスマスローズが咲いていて、愛犬は必ずそこでとまって、クンクンとする。私が好きで、毎日立ち止まっては香りを楽しみ、花を楽しんでいたから、いつの間にか愛犬までもが私と同じような行動をするようになってしまって面白かった。

ラジオにドラえもんの声優の方がゲスト出演。尊敬する方は野沢雅子さんらしい。その方のエピソードが、まるで私と同じだったので驚いた。その方が子どものころは水曜日のよるにドラゴンボールがテレビでやっていたのだが、そのあと塾に行かなきゃいけなくて祖母が作ったごはんを急いで食べながらそれを観ていたそう。私も水曜日は英会話に行かなければいけない日で、共働きで不在だった両親に代わり祖母がご飯を作ってくれてそれを大急ぎで食べながらギリギリまで観ていた。それでも最後までは観ることができず、帰ってから弟にあの後どうなった?と聞いていた。そんな、全く同じエピソードを持ってる人がいることに驚いて夫に話したら、夫も驚いていた。

今日、気づいたこと。私は人と話していると時々負けず嫌いで意地悪な私が登場することがある。それは、例えば、話している相手も負けず嫌いで誰も聞いていないのに自慢話を永遠にしてきて、いかにもほめ言葉を求めてきたときとか。ちょっとならいいけれど、それが何時間も同じ話をされると本当に困るのである。最初のうちは一応ほめるけれども、思ってもいないことを言葉にするのは苦しい。それが何時間も続くと私の貴重な数時間を奪うなという気持ちになってくる。そして、私は相手がつかれて一番嫌なところをついてしまう。私は昔からその言葉を瞬時に選び、言える天才的な力を持った嫌な女であった。そうして、言葉にして発するともちろん相手はそれまでの勢いはどこかに消え、しゅんとしてしまう。そうなるくらいなら最初から人を見下したり自慢したりしなければいいのにと思うのだが、実際はそれ以上に私がどうしようもない罪悪感を抱えたままそのあとを過ごすことになる。だから、そういう人に会いそうなときは唱えるのだ。「口は災いの元」と。

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