ある日。

こんな時期で、図書館も本屋も閉まっているし、ネットでもなかなか本が手に入りにくくなってきたので積読本とか本棚の本を読み漁っている。きっとこんな時期でもなかったら読まなかったであろう、本屋大賞受賞作『流浪の月』を読んでみた。はじめましての作家さんで、特に大きな展開とかもないのだけれども、今の日本の風潮がよく描かれていてよかった。子どもを置いて恋愛に夢中なシングルマザー、正しさだけを押し付ける完璧主義な母親とか、小児性愛者とか、もしかしたら読む人によっては不快感を感じるかもしれないけれど、よく知りもしないのに偉そうに人を批判したり、うわべだけで判断していく世の中って怖いなって思う。ネットの一部だけを鵜呑みにして切り貼りされた情報を真実としてどんどん広げていく。恐ろしい世の中だ。良くも悪くも私のSNSを見た人も一部だけを鵜呑みにして「そんな言い方はされない方がいいですよ」とDMをくれたりする。だから、私はよく知りもしないその人に謝らなければいけないわけで、私はそういう自分をばかみたいだなと思う。そして、この世の終わりみたいにひどく落ち込む。たった一人のその言葉が他の愛ある人たちの言葉を飲み込んでしまう。私まで飲み込まれていく。そういうことがあったのでこの物語がとても響いた。人は思いやりとか偽善で、周りにかわいそうな人不幸な人を見つけてはこうして自分の幸せをかみしめ、あなたの気持ちもわかるわよと思ってもいない空っぽの言葉を代弁していくのだ。「出口のない思いやりで満ちていて、わたしはもう窒息しそうだ」という一文がその時の私の気持であった。どうか、それぞれが自分の幸せのためだけに精一杯今を生きていけますように。

夜、豚ひき肉とトマトのパスタ。少量のケチャップと庭のバジルを加えたらとってもおいしかった。ハーブをもっとわさわさと育てたい。最近は、ひどく落ち込んでいたせいで、やたら庭の草むしりをしていた。草むしりはとてもスッキリした気持ちになってよい。

5冊だけの本屋

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